2007年 F1 ハンガリーGP

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今回のレースは決勝結果よりも、予選での「あの」出来事に話題が集中してしまいましたね・・。ハンガロリンクサーキットはモナコと同じダウンフォースを必要とするくらいの低速コースですので、追い抜きが非常に難しく、予選結果が最重要とされるGPの一つですが、その予選で事件が起こってしまいました。
皆さんもテレビ放送で見ていたかと思いますし、私も予選はCSで生中継を見ていましたが、あの時感じた事は正直「アロンソ、何やってんだ。はやくハミルトンをピット作業させろ!」っていう感じでした。予選残り時間のカウントダウンが常時画面に表示されているので、予選タイムが1分20秒前後であることを考えると、ピットアウトのタイムリミットが概ね判断できますからね。明らかに間に合わないタイミングでハミルトンはピット作業を行いましたので、その時点でこれはヤバい事になるとは思いましたが・・。結局アロンソが逆転PP、ハミルトンは最終アタックに間に合わず、ロン・デニスはヘッドフォンを放り投げ怒りを表し、最悪の状況になったな、と思いました。


まず今回の状況を整理してみますと、色々な事があったようです。調べてみると、簡単な解釈では解決できないような内容になっていると思います。

1.ハミルトンはQ3前に「アロンソを先にいかせるよう」指示を受けていたようですが、それを再三無視した。
2.アロンソは最終ピットイン前に、チームから「20秒」掛かると聞いた。よって、今回のストップ時の時間の浪費はチームからの指示であった。
3.計量終了時にロン・デニスは2名のドライバーから無視されていた。また両ドライバーのボディランゲージも何時ものとは違う簡素なものだった。予選終了時の記者会見では、明らかにハミルトンの顔の表情に、笑顔ではあるものの何時もとは違う感情が出ていた。またその出来事についても明確なコメントを避けていた。


まず1.ですが、アロンソはQ3アタック時に先頭に出て走る事をチームから許されていたようです。しかし、Q3スタート時にハミルトンが先頭を走る展開に。チームからは燃料消費の関係上、アロンソを前に出すよう3度ほど指示したようですが、ハミルトンは3番手を走っていたライコネンが、アロンソの背後に近づいてきていたようだったので、いかせれなかったという言い分のようです。この事はアロンソにとって、どのように映ったのか。心境を図り知る事は出来ませんが、面白くない状況だった事は確かだったでしょう。この件に関しては、ロン・デニスがハミルトンに問題があったと述べていました。

2.ですが、アロンソはピットで「20秒」待つように最終ピットイン前の無線で言われたようです。これはチーム曰く、最終アタック時の混雑を避ける為という説明だったようです。しかしレーススチュワードはそれを認めず、チームにコンストラクターポイントを与えない決断を与えた要因になったようです。何故なら、20秒待つように無線で指示した時にはコース上にアロンソ含め4台しかマシンが走っていなく、混雑を避けるという因果関係が認められないから、というのが理由のようですが、これはちょっと厳しいなとおもいます。何故なら、その時に4台しか走っていなくても、最終アタックに向け各車一斉に出てくる事が予想できますから。特にアタックラップとアウトラップが重なると厳しいので、早く出るよりはギリギリ待つ方が得策だからだと思いますので。そういう意味で20秒を待つよう指示したのだと思います。
しかし問題なのは、その20秒といわれる秒数以上に留まったことなんですよね。処分決定報告書には、ピットストップ位置に到達し、6秒でタイヤ交換が終了しジャッキも外れましたが、そこからロリポップが合図するまで、20秒掛かっているんです。これで合計26秒。そしてそこからアロンソは10秒留まっています。この説明をアロンソは「タイヤが適正なものが付けられているかを確認した」といってましたが、これもスチュワードには認められず、グリッド降格の要因になったようです。結局ストップ時の総時間は36秒。私個人的な意見で言えば、この最後の10秒は、1.で述べたハミルトンに対する報復行為ではなかったのか、と思うんですけどね・・。

3.ですが、ロン・デニスは2人から無視されていたように思えます。特にアロンソのそれはあからさまでしたね・・。ハミルトンは最終アタックの1件で、アロンソはQ3最初の位置関係に関して、双方がそれぞれ不満を持ったまま終わった予選だと思いますので、あの状況は仕方ないとは思いますが、これはやはり、2年連続王者のアロンソと新人ハミルトンの2名を「ある一定の(この部分は後述)」イコールコンディションで扱おうとした事が失敗だったのではないか、という部分にどうしても行き着いてしまいます。アロンソは自身のプライドもありますし、チャンピオンとしての自信も持ちながらマクラーレンへやってきたと思いますが、そこでハミルトンの速さ、そしてハミルトンが優遇されていると思える何度かの出来事と共に、かなりフラストレーションが溜まっているのではないかと思います。最近ではフラビオ・ブリアトーレが、アロンソがルノーに戻るのは大歓迎だという趣旨の発言をしたといわれてますし、ロン・デニスとアロンソとの関係が以前よりも難しくなってきている、と今回の予選事件前にデニス自身がコメントしていますので、やはりマクラーレンの両ドライバーのコントロールの仕方がまずかったとしか思えないんです・・。
ハミルトンにしても、モナコの決勝時に起こったチームオーダー疑惑で、「僕はナンバー2でナンバー2のマシンに乗っている」という発言をして物議を醸し出しましたが、その後マクラーレンは2名を「ある一定」平等に扱う事に非常に神経を費やしたと思います。逆にそれがこの2人には悪影響を起こしていると思うんですよね。ハミルトンはあくまで新人であるので、やはりチームとしてはアロンソを「ある一定」ではなく「絶対的No.1」にしておくべきだったんではないかと。これは80年代後半のセナ・プロスト時代の教訓が生かされていなかったと言わざるを得ないです。あの時もジョイントNo.1体制だったが故、同じような状況が起こってしまいましたからね。今回チームとして判断が甘かったのは、結果論ではありますが、開幕前にハミルトンの速さをここまでのものとは予測出来なかったところにあると思います。しかし、それはアロンソ自身にも言えることなんでしょうが・・・。


ここまで考えるにあたり、ハミルトンとアロンソはシーズン終盤のチャンピオンシップに向け、相当意識しだしてきていると思えます。それが、予選でのお互いの意識むき出しな状況を作り出したと思えます。しかし悲しいかな、他チームではチャンピオンシップをリードしているドライバーを優先に扱うといった事が、今のマクラーレンの体制・ドライバーラインナップ・ポイントランキングの現状では、それが出来ないんでしょう。これがポイント上でアロンソ優位になっていたとすれば、きっとこんな問題が起こる事はなかったと思います。そしてそれは、アロンソもチームも同じ予想だったのではないでしょうか。しかし、ハミルトンの想像を超えたパフォーマンスレベルに、チームもアロンソも、嬉しい悲鳴ではなく予想外の悲鳴を上げているんじゃないでしょうかね・・。
その証拠に、ロン・デニスはハミルトンに対し、マクラーレンのやり方を受け入れるべき、という発言もしています。これはやはりチーム内に多少の(これが上記で何度か出てきた「ある一定」という意)No.1/No.2の垣根が存在している事ではないんでしょうか。ハミルトンにしてみたら、チャンピオンシップをリードしているのは自分なのに、アロンソの方が優遇されているある部分(これが何なのかは外部の私たちには分かりませんが)に不満を持っているという事もあるようです。それはデニス曰く「アロンソよりも大きい」との事。簡単に言えばNo.2の扱いに大きな不満があるという事でしょう。今回8ポイント差に開いたチャンピオンシップをどうチームがコントロールしていくのか、非常に興味がありますね。そして、その結果がどうであれ、アロンソやハミルトンが満足したシーズンだったと振り返れる事は無いような気がします。
アロンソの契約条項の中に何らかの問題が発生した場合、契約解除できる項目があるとも聞きます。もしその項目の内容に合致した事が実際に起こったとするならば、アロンソは本当に来年移籍するかもしれませんね。

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レースのことも少し(笑)。今回残念な結果だったSAF1ですが、琢磨の最終スティントでのレースペースは素晴らしかったですね。ファステストもトップ10に入ってますし、トップと1秒離れていない事から、マシンのレベルはかなり高いところに来ていたと思われます。ただ非常に心配なのは、相当な資金難を抱えているという情報です。開発ペースもかなり厳しいと思われますし、今後厳しい戦いが続くかもしれませんが、何とか頑張ってもらいたいと思います。

ホンダは今季のワーストレースだったんではないでしょうか。ハンガリーからは目に見えるアップデートを施してくるといってましたが、Q1脱落でレースも見るべき部分は全くないという散々たる現状に、ホンダ陣営は昨年初優勝を飾ったハンガリーの地で何を思っていたのでしょうか。