新たなF1スパイ事件

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2007年シーズンも終わったF1も、未だに混沌とした状況のままですね・・。ひとつはアロンソの行き先、もうひとつはマクラーレンがルノーに対して行っているスパイ容疑の異議申し立てです。この二つが今のF1を大きく揺さぶっていると考えてもいいでしょう。
アロンソはマクラーレン離脱後にウィリアムズ、レッドブル、トヨタ、そしてルノーと、引く手あまたといった状態でありました。一番可能性が大きいと思われたルノーですが、未だに大きな動きは無く状況は完全にこう着状態です。ウィリアムズはロズベルグ・中嶋のペアを発表しましたし、トヨタ入りも「最高のパッケージを用意出来ない」という事で、その可能性は日が経つにつれ少なくなっていってます。となるとレッドブルかルノーという事になりますが、そのルノーが今大変な状況に陥っていますから(スパイ疑惑)、アロンソ側も簡単に契約するという動きが取れないのかもしれません。何故なら、このスパイ容疑でルノーに有罪判決が出れば、ヘタすればルノーの撤退もあり得るかもと思うからです。


このルノーのスパイ容疑ですが、実際は「スパイ」というべきではないのかもしれませんが、元マクラーレンの従業員(フィル・マッケレス)がルノーに移籍した際に、「データとして」マクラーレンの文書および機密情報を持ち込んでいたという疑惑です。これは逆にマクラーレンに移籍してきた元ルノーの従業員からの内部告発で発覚したようです。既にルノー側はこの件を認めており、従業員を停職させているようです。そしてルノー側もマクラーレンの情報を一切今年度マシンに使っていないということを表明していますが、マクラーレンが今年受けたペナルティはポイント全剥奪に100億円の罰金です。マクラーレンは同じくフェラーリのデータを保持はしていたが流用していないと発言しており、実際にその形跡は無かったはずですが、厳罰が下されました。これはやはりデータを流用したかしていないか、ではなく、データを「保持していたか」という部分が一番大きなポイントだったと思います。だからデータを保持していたマクラーレンはペナルティを受けた形になります。
今回のルノーの件も、同じようにマシン流用は無いとの事ですが、所持していた期間やそれを見た人間の数がマクラーレンの時よりも長く多いんですよね・・。そして12月6日に世界モータースポーツ評議会(WMSC)が開催される形ですが、ここで恐らくマクラーレンと同等かそれ以上の厳罰が下される可能性が限りなく高いです。逆に厳罰が下されなければ余りにも不公平だとマクラーレンは感じるでしょうし、世界中のファンも同じように思うと思います。
そしてその判決が出た時点で、ルノーのゴーン氏は撤退を表明する可能性もゼロではありません。あくまでF1は商業的価値(イメージアップ)の為の資金投入としていますし、勝つ可能性が無ければ巨額の資金を投入する無駄を省き、F1から撤退する事も十分あり得るでしょう。ここで、この疑惑問題です。ルノーにしてみれば会社イメージが余りにも悪い状況です。この事が現時点でのルノーの来期を未確定のものにしている一番の要因ではないかと思われます。そして判決は常識的に考えればほぼ99%最悪の判決になるでしょうから、アロンソにしてみればここでルノー入りを表明する事はリスクが大きすぎると判断しているのではないでしょうか。

ここで不思議に思うのは、この件をマクラーレンが認識しFIAに問い合わせたのが9月なんですよね。マクラーレンはかなり以前からこの件を把握していたのに、この件をFIAに正式に異議申し立てしたのが11月に入ってからというタイミングです。これが何を意味するのか。私個人的にはマクラーレンから離脱決定したアロンソが、ライバルチーム(当然ルノーを対象)に移籍できない為の作戦ではないかと見ています。アロンソとルノーの組み合わせは間違いなくマクラーレンやフェラーリにとっても脅威になるはずですから、それをこのスパイ容疑というカードを切って反撃に出たという気がしてなりません。ルノーに対してではなくアロンソに対しての反撃なのかもしれません。

厳罰が下るとルノーが撤退するかも・・・という状況が予想されれば、世界モータースポーツ評議会(WMSC)はルノーに対して甘い裁決を下すかもしれません。そうなると前代未聞のペナルティを受けたマクラーレンは勿論のこと、何時もの如くまるで一貫性の無い判決に、世論・メディアから厳しい非難が集中するでしょうし、世界中のファンが愛想を尽かしても仕方が無い状況に陥ってしまう可能性が非常に大きいです。いったいこの問題をどう解決するのか・・。ある情報では、この最悪の状況を打破する為に、マクラーレンの裁定は不適切だったと判決見直しをする可能性もあるとか・・。もしかしたらマクラーレンはこの可能性を予測して今回の一連の問題提起をしたのかもしれません。どちらにしても、そうなればそうなったで「じゃあマクラーレンあの判決は何だったんだ?」と余りにも茶番過ぎますし、どちらにしても厳しい非難にさらされることでしょう。

いずれにしてもF1界は大きな岐路に立たされていると感じます。この大きな問題を基点に、今までの余りにも一貫性の無い裁定を下すFIAのあり方が見直される時期に来ていると思います。12月6日の裁定後に、この問題が導火線となり世界中を駆け回って再び大騒ぎになるような気がして仕方ありません。そしてこの問題は、これだけ情報社会となった今となっては、マクラーレンやルノーだけではないF1界全体の隠れた問題になっているのではないかと思ってます。

マクラーレン疑惑からこの問題が世間に表立って、慌ててパソコンから機密データを消したエンジニアは果たして何人居るのでしょうか(笑)。