CSL Elite Steering Wheel McLaren GT3 ボタンの不具合修理~意外な結末
8月のGT7国スポTAを走っていた時から気になっていたのですが、マクラーレンGT3ホイールのゴーストを割り当ててるR3ボタン(写真の赤丸で囲っている右上のボタン)が微妙に認識が悪いと思ってました。TAをする際に自分のゴーストを表示させたり非表示させたりする際のボタンに割り当ててるのですが、数回押すと1回は認識しないみたいな確率でボタンが微妙に反応しない感じでした。私の場合ゴーストは基本非表示で走っていて、要所要所でゴーストを表示させて今どれくらいの感じで走れているかを確認し直ぐ消すという形で走っているのですが、たまに表示が出ない・もしくは消せない時があり、目の前にデカいゴーストが出てるのにコーナー前で消せなくて目測を誤ってコースアウトしたりとめちゃくちゃイライラする事が多発しておりまして(笑)。ボタン内部のスイッチが劣化してきてるのかなーと思い、一旦反対側のL3ボタンに割り当てて走っていたのですがやっぱりちゃんと使えるようにしておきたいなと思い、これら改善の方法を検討します。
もう一つ赤丸で囲っている〇ボタン。こちらはゲーム内でのキャンセルボタンとなるのですが、ここも同様に数回押すと1回は認識しないという状況がある事に気が付きます。たまに戻らないなーと思ってましたが、よくよく試してみるとR3ボタンと同じような感じである事から、この2つのボタンがおかしいという結論に達します。原因としてですが、この2つのボタンの間にあるPボタン。これがGT7内でのポーズボタンになるのですが、TAを途中で止めてやり直す際にこのボタンを押すのですけど何しか物凄く硬いんです。左右のNとPのボタンは誤動作防止であえて押しにくいように周りに囲いがあって硬くしてあるのだと思うのですが(実車ステアリングもそうなっているのかと推測)、TAで何度もやり直しする際にPボタンを思いっきり押すので(笑)その周りのボタンに悪影響でも出ているのだろうか?と。となると内部基盤に直接ハンダ付けされているタクトスイッチを交換すれば直るのでは?と思い、部品を調達しようと考えます。こういうステアリングについているスイッチはきっと日本製じゃないだろうし信頼性が低く耐久性も低いものなんだろうと思ってました。

既に分解後の写真ですが、このように基盤に直接スイッチが固定されています。こういう形状のスイッチはタクトスイッチと呼ばれるようです。このスイッチを交換するにはステアリングから基盤を取り外し裏側から固定されている4か所のハンダを吸い取ってスイッチを除去、同じ縦横そして高さのサイズのスイッチをハンダ付けして再固定する必要があります。このようなスイッチが基板上に計7個実装されています。押される頻度にもよりますが現時点で2個がおかしいという事はそれ以外の動作しているスイッチも今後おかしくなる可能性がありますよね。

ということでスイッチを買いました。サイズを測っていなかったので勘でしたが(笑)、届いたものはこちら。アルプスアルパインさんの日本製スイッチで品番は「SKHHAKA010」というタクトスイッチとなります。規格としては縦と横が6mmで高さが5mmのものになります。高さはボタンの突起量で変わるみたいで、過去に撮っていたステアリング内部の写真を見比べて恐らくこれだろうと買ったのでまあまあバクチでしたが(笑)届いてから基板上のスイッチと見比べてみて概ね正しいサイズっぽかったので良かったです。今後他のボタンでも不具合が出た時のために全部交換出来るように計7個スイッチを購入しておきました。1個50円くらいでしたが送料の方が高かったです(笑)

下記の表はアルプスアルパインさんのホームページに記載されていた仕様表でこれを参考に購入したのですが、傍から見れば電子関係に詳しいと思われがちですが実際はこういう部品などの専門知識は皆無ですので(笑)サイズが同じで何故こんな種類があるのかと思いました。赤枠で囲ったものが6.0×6.0×5.0mmのサイズのものなので今回の交換用に適したサイズなのですが、動作寿命が明らかに違います。100万回耐久があるもの(今回購入したスイッチ)から20万回の耐久のものまで。そして作動力という項目でニュートン単位での数値が記載されています。押す力が必要になるもの(クリック感が大きくなるもの?)の順にボタン部分の色が変わりそれに比例して動作寿命が低くなるようです。なるほど、押す力が強くなればなるほど耐久性は下がるということですね。他のサイズを見ても作動力に応じて色が決まった形で変わっているのでもしかしたら配色は識別の規格なのかなと(このメーカーさん独自かもしれませんが)。元々ステアリングについていたボタンは黒っぽい色だったのでこの中で一番近い色は黒かダークグレーになるので、後はどちらを選ぶかというところになり、耐久力が一番大きい黒のを選択して購入したという事です。作動力0.98Nというのがどれくらいの感触なのか分からなかったのでこれもバクチでした。結果を先に言うと元々のボタンよりかなり軽いクリック感になってしまったので、1.57Nかそれ以上のものが必要になるのかと思います。こればかりは実際のスイッチを電子パーツ店の店頭などで直接押したりして試すしか方法がないですね・・。スイッチ修理されるチャレンジャーな方が居るのでしたら、私と同じスイッチだとかなりクリック感が無くなりますのでご注意ください(笑)

前置きが長くなりましたがスイッチ交換を始めます。
赤丸の2か所のスイッチを交換しますが、まず交換して本当に症状が改善できるかを確認したいのでR3相当の右上のボタンのみを交換してみます。白いゴムカバーのようなものでボタンが保護されています。被せてあるだけなので簡単に取れます。そしてこの基盤の裏側を触らないといけないので、基盤を外す必要がありますが外す為には中央側に見えている計5か所のコネクターを外し、基板を本体に固定してあるネジを7か所外さないといけないみたいです。写真で見えているネジは6か所ですが、中央コネクターの真下に1個隠れています。なお、この5か所のコネクターですが透明なコーキング材で外れないようにしてあるのと、中央のコネクター以外なかなか外れなかったので外すのを諦めました。というか、外さなくても基盤裏側にアクセスできました(笑)

あとこのLCDパネルの下にある小さいネジ(赤丸部分。写真はもうネジを外した後)を外さないと基盤が外れませんので壊さないように注意してください。

中央のコネクターは外れていますが基盤が取れたらこのような感じでステアリングからこのように取り出すことができます。これで基盤裏側にアクセスできるようになりますので、コネクターはそのままでもOKかと思います。中央だけ外しておけば更に手前に引き出せるので更にやりやすくなります。スイッチは赤丸部分の箇所にハンダでそれぞれ4か所固定されています。

R3スイッチ裏側の拡大。スイッチを外すためにハンダそのものを吸い取る必要があります。正直ここが一番難儀しました。ポンプみたいな感じで吸引するタイプの手動吸い取り器とハンダ吸い取り線の2つを持っていましたが、なかなか上手に吸い取る事が出来ず・・最終的にはスイッチ足を表面からカットして、1本ずつ熱しながら足を抜き取りどうにかしてスイッチ除去とハンダ除去をしましたが、これを7か所やるのは超面倒くさいなと(笑)。きっと自分のやり方がおかしいのだと思いますが何か良いやり方ないんですかね・・

苦労して取りはずしたスイッチ(右)と新しいスイッチ(左)。見た目のサイズは全く同じに見えます。勘でよくここまで同じサイズのを買えたなと思います(笑)。足が長いのは問題なく、このまま基盤に差し込んではんだ付けした後に伸びている部分をニッパーで切ってしまえばOKです。スイッチのクリック感が全然違ったのが失敗でしたが。

スイッチを取り外しハンダを除去した後。ここの穴にハンダが残っていると穴が小さくなり足が入りません。私の場合その小さい穴に残っているハンダがどうしても取れなかったので小さい手動式ドリルで穴に残っているハンダを削り落としました(笑)。こんなやり方したらダメなんでしょうけど。

ということで何とか新しいスイッチを固定することができました。クリック感はかなり軽くなってしまいましたがこれでスイッチ入力は確実になれば何ら問題ありません。信頼性のあるメーカーですし100万回使えたら十分でしょう(笑)

ということで、最低限の動作が出来る状態まで組み上げて動作チェックです。PS5に接続して走行画面でゴーストが表示されるようデータを読み込み、いざ走ってみましたが・・・・なんと症状が変わりません。未だに数回に一度押しても認識しない時があります。まじですか・・・新品スイッチなのにどういうこと?
スイッチの固定がまずいのであれば、数回に一度認識しないとかではなく一切認識しないので、そもそもスイッチは関係ないのではないかと。ふと思って試しにマクラーレンステアリングを外してGT DD PRO標準のステアリングを装着します。そして同様にR3ボタンを押してみると、全く同じように数回押すと1回認識しないような症状が出てるではないですか。〇ボタンも同様にたまにキャンセルされない時がありました。これはもうスイッチ劣化とかの問題ではないことが確定です。2種類のステアリングが同時に同じボタンが故障するなんてありえませんから。さあ厄介な事になってきました(笑)
試しにWindows11内のゲームコントローラープロパティでボタン動作をチェックしてみたところ、R3ボタンも〇ボタンも全く問題なく動作することが分かりました。どんな押し方をしてもちゃんと反応しています。ということはPCで操作する分には何ら異常はないと。PS5で操作する時だけこの2つのボタンの認識がおかしくなるということです。ということは苦労して外したスイッチは壊れてすらいなかったということですね(笑)
他に思い当たるフシはないのか・・8月のとあるタイミングからこの症状が気になりだしたのでその近辺で何かなかったかどうか。
そういえばお盆休みの間にGT DD PROをPCに繋いで新しいFANATECの最新アプリを入れて何かのファームウェア更新したよな・・しかもかなりバージョンが上がったよな、ということを思い出します。PCでのダウンロード履歴を調べると8月16日に新しいFANATEC APPという新しいコントロールパネル(ドライバー)をダウンロードして入れています。そういえばお盆休み最終盤に国スポTAしていた時にこの症状が出ていたなと思いましたので時期的にも辻褄が合います。もしかして原因はこの時に更新した最新ファームウェアに問題があるのでは?と。
改めてパソコン上のダウンロード履歴を調べますと、Driver465(今調べるとこのバージョンはベータ版のよう)を今年の4月に更新していて、その後更新せずに8月に最新のFanatecAppを入れていました。それ以前までボタン操作に全く問題なかったので、この古いドライバーを入れなおしてファームウェアをロールバックしたらどうなるのだろうと。ファームウェアもDD PRO本体のベースファームウェア、モーター部分のファームウェア、そしてステアリングのファームウェアと別々となるのですが、少なくともステアリングのファームウェアであれば両方のステアリングで同症状が出るとは考えにくいので、やはりDD PRO本体のファームウェア(ベースかモーターかどちらか)にもしかしたら問題があるのかもしれません。
ということで最新のFanatec App v.1.0とそれまで入れていたDriver465 (Public Beta)の違いを調べようとファナテックサイトのフォーラムにあるドライバー更新履歴とファームウェアのバージョンを見てみました。それが以下のような内容でした。465ベータの前は464を入れていたのでそちらも記載してあります。
ちなみに公式サイトで現時点でもダウンロード可能であるDriver V474はFanatecApp V1.0.0の各種ファームウェアと全て同一バージョンのようなので下記表には記載していません。
バージョン | GT DD Pro Base | GT DD Pro Motor | GT DD Pro WQR | GT DD Pro SW | McLaren GT3 |
---|---|---|---|---|---|
Fanatec App v.1.0.0 | 1.5.1.1 | 1.0.3.2 | 6.0.1.1 | 8 / 1.0.1.0 | 37 |
Driver 468 | 1.5.0.1 | 1.0.3.2 | 6.0.1.1 | 8 / 1.0.1.0 | 37 |
Driver 467 | 1.5.0.1 | 1.0.3.2 | 6.0.1.1 | 8 / 1.0.1.0 | 37 |
Driver 465 (Beta) | 1.4.0.6 | 1.0.3.2 | 6.0.1.1 | 8 / 1.0.1.0 | 37 |
Driver 464 | 1.3.0.1 | 1.0.3.2 | 6.0.1.1 | 8 / 1.0.1.0 | 37 |
これを見ると、モーター(1.0.3.2)、QR(6.0.1.1)、純正ステアリング(8 / 1.0.1.0 )、そしてマクラーレンステアリング(37)とファームウェアの更新が464以降ずっと無いことがわかります。となるとモーターやQR、ステアリングのファームウェアによる問題ではないことが確定です。変わっているのはやはりベース部分のみですね。そして464の時と465ベータの時に問題が無かった(467と467は使っていなかった)ので、一旦ベータではなく正式版である464を入れてみる事にします。こちらのベースファームウェアは1.3.0.1となります。これを入れてみてどうなるかを試してみたいと思います。
下の3枚の画像は各ファームウェア更新中の画面なのですが、最初にFanatec Appをアンインストールし再起動後にDriver464をインストール、旧画面からファームウェア更新画面に行って、マニュアルアップデートにチェックを入れたら旧ファームウェアを入れられるようになるのでその形でダウングレード(ロールバック)してみました。ただ画面の情報を見ると「FIRMWARE MANAGER FanatecApp Version:1.0.0」と表示されていますね(今気付きました)。何故最新APPのバージョンになっているのか不明ですが、とりあえずこれで旧ファームウェアを入れなおすことが出来たようです。ベース更新の画面には「Selected firmware V1.5.1.1」とか出ていますが、入ったのはちゃんと古いバージョンの1.3.0.1でした。この辺りもよく分からんですね・・念のため、ベース更新時はステアリングを取り外した状態で行い、ベース以外のモーターとステアリング(マクラーレンの方)のファームも書き換え(上書き)しておきました。同じバージョンですがドライバーバージョン変更による変な競合が出ないように念のためです。



さあこれでどうなるか。
これでも症状が変わらなければ完全にお手上げなので祈るような気持ちでPS5に接続して試してみたところ、なんと解決してしまいました!!
ボタン操作でたまに認識せずの不具合は一切なくどんな状態でもしっかりボタン認識するようになりました。やはりファームウェアが悪さしていたのか・・
ファームウェアバージョンを見る限り、ベースはバージョン1.4台までは大丈夫だったのかなと思います(Driver465で問題なく動作していた)。1.5.0.1が入っている467~468は入れたことが無かったので、これを入れるとどうなるのかは分かりませんが、少なくとも最新ファームの1.5.1.1ではボタン認識の不具合が出ていたので、結論からするとPS5でGT7をプレイする際にR3ボタンや〇ボタンを押しても認識しない時があるという症状が出ている方はベースファームをDriver 465 (Public Beta)以前のものにロールバックすれば解決出来る可能性が高いという事になります。それ以外のボタンももしかしたら影響があったのかもしれませんが、少なくとも一番押す頻度の高いXボタンなどは問題ありませんでした。
もしかしたら私の環境だけの問題だったのかもしれませんし、R3ボタンは純正DD PROステアリングだと右下という使いにくい位置にあるので、常用している方じゃないと分かりにくいと思います。ただ〇ボタンに関してはキャンセルボタンとなりますので普段から使う事は結構あると思いますので、ここがちょっと認識しない時があるなーと思われた方は参考にしてもらえたらと思います。私も〇ボタンは若干気にはなっていましたが連打する癖が付いているので(笑)、たまに効かない時があるけどそれほど気にならなかったというのがあるのですが、R3ボタンはマクラーレンステアリングでゴースト表示切替ボタンとして割り当ててたので違和感に気が付いたのかもしれません。
それにしてもファームウェアが悪さしてボタン認識に問題が出るとは思いませんでした。確かにフォーラムを見ているとFormula V2.5 ステアリングのシフトアップかシフトダウンのスイッチがたまに効かない時があるみたいな不具合があるようで。
On the Formula V2.5 with Firmware V1.0.2.0 and newer missed shifts and loss of button inputs for several seconds can happen on all bases. We are investigating this with the highest prio and plan to fix the issues with a driver update as soon as possible.
Formula V2.5(ファームウェアV1.0.2.0以降)では、すべてのベースにおいて、シフトミスや数秒間のボタン入力不能が発生する場合があります。現在、この問題を最優先で調査しており、できるだけ早くドライバーアップデートで修正する予定です。
現象としてはたまにスイッチが認識されないということと同じでしょうし、環境によってはその辺りのボタン操作に問題があるのかもしれません。流石にシフト操作では100%ちゃんと動作しないと走りにモロに影響しますので早く何とかしてもらいたいですけどね。今回の私の件もたまたま気が付きましたが、まさかファームウェアの問題とは思わず、認識が甘くなったのは物理的にスイッチが故障(内部で接触不良を起こしかけている)しているのだろうと真っ先に思ったので、今回のようにスイッチを交換してしまったのですが、買ったスイッチもそうですけど分解作業労力そのものが無駄でした(笑)
そもそもベースのファームウェア更新の際はステアリングを外した状態でした方が良いというのも見かけましたので、もしかしたらその状態で最新ファームを入れたら正常動作するのかもしれませんが、あまり色々やって本体そのものが不動になってしまうのも怖いのでちゃんと正常動作している今の状態で暫く使ってみようと思います。