2005年 F1 史上最悪のアメリカGP

眠い目を擦って頑張って起きていたのに、とんだ茶番を見てしまいました。久しぶりに凄く異様なモノを見てしまったというのが正直な感想です・・。

ミシュランタイヤユーザー、全チーム出走取りやめ。
決勝はBSユーザーの「6台だけ」でレーススタート・・。

今回のレースを見て、これからのF1は一体何処に向かうのだろうと。レギュレーションに縛られて肝心の観客(現地の方は勿論、TV視聴者も含め)を完全に蔑ろにした運営に私はうんざりしました。F1というレースは運営者・チーム・コンストラクターだけで行われているものなのでしょうか?違いますよね。年1回楽しみにしてチケットに高いお金をだして来たお客さん、全世界のTV視聴者もそうです。そういった方々全員が楽しめるためにレースが存在するのであって、関係者たちだけで取り決めて勝手にくだらないレースにしてしまう権利なんて無いと思います。

しかし今回は誰が悪いの?と簡単に答えが出ないところに問題の根深さが見え隠れします。

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1)ミシュラン
タイヤのコンストラクション(基本構造)に問題があり、最終バンクを走れるだけの耐久性に問題を発見。ミシュラン側は10周位しか走れないとの見解。事実ラルフ、ゾンタ以外に8名ほどのタイヤトラブルを確認しているらしい。問題はこのタイヤがバルセロナ以降に開発されたタイヤで、モナコ・ニュル・カナダとレースに使用されたが、インディアナポリスのような全開バンク区間のような特殊なコーナーが無い為、問題が分からなかった可能性もある・・。まあしかしインディでレースを行うことは当然のことながら事前に分かっていたことであるので、それを理由に正当化するのは少々無理があると思われる。
但しミシュラン側は問題発覚後、バルセロナ以前のスペックのタイヤを日曜朝に緊急輸入し、全チーム供給に間に合わせる努力をした。しかしご存知の通り今年のタイヤルールにより、タイヤ変更はFIA側に却下されてしまう。ならばバンク部分に仮設シケインを作ってスピードを低下させノンタイトル戦としてレース続行しようと提案。10チーム中9チームがそれに合意したが、FIA側と1チームがそれに反対。結果、レース続行不可能と判断してフォーメーションラップ終了後にミシュランユーザー全ドライバーがピットイン、マシンを降りた。ピット後、アロンソの無線から「全員約束を守ったのか?」とチームに確認していたのを川井ちゃんが伝えていましたので、レース前にミシュラン側のチーム・ドライバー全員の同意があったものと思われる。

2)FIA
キミライコネンの事故後、FIAはチームに対して安全性を考えてレースを行うよう通達してきた。レース最優先よりも安全を考えろと。言葉だけ見ればごもっともな内容ではあるがタイヤ無交換ルールを決めたFIAが言う言葉ではないと思う。レースを戦っている人は全員が勝つために巨額の費用、寝る間も惜しんで開発を行い、ドライバーは全力で走らせることだけを考える。それがレースであって、ドライバーの本能のようなものである。それを抑制させるようなレースなぞ何が面白いのか。レギュレーションは絶対であるが故、今回のような茶番が行われてしまった要因となったことは否定しようがない。FIAはモノをコースに投げ込む観客、親指を下に向けブーイングを行う観客を見て、何を思ったのだろう・・。アメリカに折角根付いてきたF1人気に悪い影響を与える事は避けられそうにも無い。

3)ミシュラン使用チーム
個人的に思うのは、本当にレース棄権するしか方法はなかったのか?という疑問である。日曜日朝に空輸が間に合ったと言われていたバルセロナスペックのハードタイヤ。これをフォーメーションラップ後、全車ピットイン後にタイヤ交換させ(1分のペナルティになるはず)レーススタート後ピットスタートにすれば何ら問題なかったのではないかと。勿論1分のペナルティは大きいので当然フェラーリ2台は追いつけないだろうが、あとはジョーダンとミナルディだけである。十分3位以下までは有力チームが追いつけるだけの状況だったと思われる。
あえてそれをしなかったのは政治的要因が大きかったのだと容易に想像できる。以前ここでも書いたがFIA+フェラーリ VS 他チームとの対立である。コンコルド協定の継続サインを行っているのは現在フェラーリだけで他チームはサインはおろか、話し合いの場にも姿を表わさない状況となっている。そういった状況が今回も表面化してしまい(仮設シケインの設置にいつものように「FIA+フェラーリ」が反対)、ならばレースキャンセルしようと「チーム側から」動いたのではないかと予想できる。
CSでも言ってたが、もうモズレーが辞めない限りコンコルド協定に他9チームが今後サインすることはないだろう。仮設シケインの賛否でBSユーザーであるジョーダンとミナルディは賛成の意向を示していただけに「ミシュラン VS ブリヂストン」という構図ではないことは当然だが明らかである。

4)フェラーリ(+BS)
観客の多くがフェラーリにブーイングを向けていたが、これはお門違いである。彼らは問題の無いタイヤを用意し、普通にレースを戦っただけである。勿論完走さえすればワンツーは約束されていた状況ではあるし、ドライバーは喜びも無かっただろうが。ある意味フェラーリ陣営も被害者といえなくもない。競争というものを考えた時、ミシュラン側の提案は自分たちの有利・不利を考えた時に反対の立場を取るのは致し方が無い事である。

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しかし、レース全体と言うものを考えた時に、シケイン設置に反対したフェラーリの判断が「ファンの目」にどう映るのか。観客のブーイングが何故フェラーリに向けられていたのか、考えなければいけないと思う。そして、ペナルティを受けてでも出来たであろうレースを一番最悪の形で強行してしまったミシュラン勢もまた然りである。自己を犠牲にしてでも観客の為に、という考え方が出来るチームというのはもはや存在しないのだろうか・・。
そしてFIAも同様である。ルールに拘るのは分かるとしても、譲れる部分と譲れない部分を持ってもいいのではないかと。CSでも言っていたがNASCARやIRLなど柔軟な対応が出来るようレギュレーションが制定されていると聞く。今回の仮設シケインに関しても設置可能な状況であったにも関わらず、結局ゴタゴタが解消できず不可能になってしまった。

ルールで縛りつけ、それを頑なに適用するFIA、フェラーリの判断、そして真っ向からそれらに対立する9チーム。様々な要因が重なりあい、まさに史上最悪の結果を生むことになった今回のUSGP。2008年レギュレーションの草案もバカバカしい内容としか言いようがないし、一体F1はどこに向かおうとしているのか。良い方向に進んでいるとは到底思えないし思う人もいないだろう。

追記(6/20)

http://www.honda.co.jp/F1/race2005/rd09/report/
ミシュランユーザー合同声明が出されているようですね。こちらを見た限りではもしかしたら空輸してきたバルセロナスペックのタイヤでも安全かどうか太鼓判を押すことが出来なかったのかもしれません。となると、先ほど私が投稿した内容の「ペナルティを受けてでもタイヤ交換後にレースを行うべき」という内容が当てはまらなくなります。事実が「空輸されたタイヤでも安全性確保の確証が得られなかった」のであれば、ミシュラン勢に対してのご無礼お詫びいたします。

そして、リリースの中に、
「万一この条件を適用することで世界選手権の得点獲得には不利となっても、またはミシュランタイヤの提供を受けていないチームにグリッドで上位ポジションを譲る結果を招くことになっても、参戦チーム中9チームはこの条件の下参戦できるよう準備を進めてきました。」
とあります。

これは、ミシュラン側は自分たちが不利な状況になってでも安全性を確保した上でレースを行うことを一番に考えていた、即ちポイントは度外視しても観客のためにレースを行いたい、という風に取れますよね・・・。勿論ミシュランのタイヤに問題があったという大前提は覆りませんが、それを何とかしようと必死で裏で動いた努力もFIAの一言「許可しません」で終わってしまったのでしょうか。

結局・・、FIAなんですかね・・。

2005年 F1 史上最悪のアメリカGP” に対して2件のコメントがあります。

  1. tabazo より:

    こんばんわ こちらでははじめましてtabazoです
    いやー 見ましたよUSGP
    SYORIさんと知り合ってからずっとF1見てますが
    こんなレース初めてでいろんな意味で困惑していますね
    SYORIさんのコメントに尽きると思いますよ 
    私も同じ気持ちでいます
    あなたと深夜遅くまで一緒に見ていたあのころが一番楽しいF1だったように思います(15年ぐらい前ですかね)

  2. SYORI より:

    毎度どうも、こちらでははじめまして(笑)
    早くビデオ見てくれ!という意味が分かってくれたかな?もしかしたら琢磨表彰台!と思っていたのかもしれないけど違う意味で衝撃的なレースだったでしょ?(笑)。
    しかし15年前といえば90年台前半か。90年はプロスト・セナの鈴鹿のクラッシュ、91年はウィリアムズの躍進と中嶋の引退、92年はモナコでのマンセル・セナのバトル、93年はセナのドニントンでの凄まじいオープニングラップ、そして激動の94年・・。手に汗握るレースも悲しい出来事も一緒に見てたよなー。

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