2008年 F1 第9戦 イギリスGP

まさにハミルトンの為のイギリスGPといった感じでしたね。予選でのミスはいただけませんでしたが、昨年の日本GPと同じようなウェット時のレース運びは本当にルーキーとは言えない落ち着いたレース運びでしたので、今回もスタート数周はコバライネンに抑えられたものの、明らかにペース差がありましたし、トップに立った時点で彼の優勝は間違いないなと確信していました。細かいミスはあったものの危なげない走りで大量リードを保って、見事地元GP優勝。PPスタートだったコバライネンはタイヤに問題があったのか中盤全くペースが上がらず、ミスも重なって決勝は残念な結果でした。今回はフリー・予選の流れから初優勝も十分ありえると予想していたので、不運もあったかと思いますがちょっと勿体無いなと思いました・・。
それにしても雨のレースになると現代F1マシンのセンシティブな挙動が途端に牙をむきますね。TCSの有無が相当扱いにくさを出しているのだと思いますが、TCSを使ってないGP2世代のドライバーやTCS無しマシンを経験しているとベテランドライバーが上位に来ているのは、そういう事も影響しているのかもしれませんね。

それにしても今回の雨で翻弄されたのはフェラーリでしたね。マッサは何回スピンしたかわからないくらいでしたが(笑)、彼はTCS無しのマシンに相当苦労しているんでしょうかね・・。ドライだと優勝も重ねている今シーズンですが、セパンでは不可解なスピンを喫していますし、今回もそうです。また若干(大分?)評価を落としたような気がするマッサですが、ポイントランキング上は熾烈を極めてきました(笑)。ハミルトン・マッサ・ライコネンの3人が48ポイントで並んでトップに、クビサが46ポイントと2点差で追いかける展開に。

そうそう今回クルサードの引退が発表されましたね。セナ亡き後、ウィリアムズに抜擢された彼も引退というのは月日が経つのを感じさせてくれます。ウィリアムズ・マクラーレン・レッドブルと彼の乗ったマシンは全てエイドリアン・ニューウェイ作だったというのも不思議なものですね。またF1の歴史を感じさせる人物が引退という事でお疲れ様と言いたいのと同時に少し寂しい感じですね。

日本勢では中嶋一貴がまたポイントゲット。最後はトゥルーリに抜かれてしまって8位にポジションダウンしてしまいましたが、それでも今シーズン4度目のポイント獲得でロズベルグとポイント上も並んだ計算となります。レースでは安定した走りを見せている感じですので、あとは予選でどれだけ頑張れるかに掛かってきます。その辺りはロズベルグに遅れを取っている感じが強いので、何とか頑張ってもらいたいと思います。次戦ホッケンハイムはウィリアムズマシンに合っている方向のコースだと思いますので、是非今回以上の結果を期待したいですね。

今回はホンダが2006年シーズン以来となる表彰台を獲得しました。このレース結果はロス・ブラウンの効果がかなり合ったように思えます。バリチェロ自身はエクストリームウェットタイヤのチョイスを自身で考えたように話していましたが、ロスもきっと同じ戦略を考えていたに違いありません。この辺りの作戦参謀?の力量の違いが、フェラーリと如実に差となって現れたように思えます。
久々の表彰台という事でチームも喜びを爆発させていましたし良かったとは思いますが、何故か素直に祝福出来ないというか、自国チームという気がしないんですよね・・。最近はホント、ただのイギリス系チームがホンダの看板しょってるくらいにしか思えなくなってきてます。

まあこう考えるのも色々理由がある訳ですが(笑)、今のホンダチームに過去のホンダスピリットを全く感じなくなっているという事が一番大きな原因でしょう。今宮純氏の奥様である今宮雅子さんのブログを以前から良く読んでいるのですが、「スーパーアグリF1チーム 全戦密着現地直送ブログ」と題名されたブログは現在、SAF1チームのこれまでを振り返る連載が続いていて、次回更新で終了となるようです。

スーパーアグリF1チーム 全戦密着現地直送ブログ
http://www.motormagazinesha.co.jp/medialog/modules/nmblog/

その最新記事である「夢が潰えないために」という投稿は、本当に私の心に響きました。それと同時にホンダスピリットを持ったチームの消滅と、ホンダスピリットを失ったチームがホンダの看板を上げて走っている事に対するジレンマを痛感してます。何でこんな事になってしまったんでしょうね。

撤退発表後に投稿された「撤退発表・・・そして最後の日」の最後に書かれていた一文、それに非常に共感を覚えました。

~負けたのは、スーパーアグリではない。F1が、スーパーアグリを失ったのだ。~

今更と思われる方もいるかもしれませんけど(笑)、私にとってはこのチームが無くなった事はF1にとって大きな損失だったと思います。

2008年 F1 第9戦 イギリスGP” に対して8件のコメントがあります。

  1. たー より:

    ビジネスとしてはしょうがないのでしょうが、ビジネスしすぎた現状は
    見る側としてはスポーツとしての面白みがかなり薄れてしまってますね。
    昔プロストがフェラーリのどうしようもないマシンをテクニックで
    カバーしていたり、アレジががむしゃらに走っていたり
    マンセルがぶん回していたり、マシンが凄くなりすぎて人間味が
    薄れてきたのが、ただのビジネスとして判断されるように
    なってしまったのかもしれませんね。
    世界カート選手権でも民放で流してくれないかな(笑)

  2. ソリッド より:

    それにしてもこのイギリスGP、マッサのスピンはかなり目立ちましたね・・・。

  3. SYORI より:

    >たーさん
    どうもです。ビジネスとしてのF1はバーニー・エクレストンの功績が大きいと思いますし、ここまでメジャーかつハイソシエティな世界に仕上げた事、それはそれで良いことだとは思うのですが、現状はそれプラス規約でのガンジガラメな世界になってしまって、それの影響で僅かな性能向上に湯水の如く資金を投入するという形になってしまってますね・・。結局コストダウンにもなってませんし、車があまりにも神経質な特性になってしまってレースがあまりにも淡々としてしまってます。
    この辺りは、個人的にコストダウンを名目とした一連の施策が間違った方向に進んでいるとしか思えません。特にエンジン開発凍結なんてその最たるものかと思います。実際は凍結とは言え開発できる部分が若干残ってますので、その部分を向上させるために24時間フル活動でベンチが回っているんじゃないかと・・。まあそういう部分もそうですが、やっぱりスポーツというのは人間ドラマであって、勝敗の行方を越えた部分に感動があると思ってます。それが今や風前の灯ですからね・・。この先どうなっていくのか全く分からないですね。

  4. SYORI より:

    >ソリッドさん
    どうもです。マッサのスピンはこれ見よがしに映ってましたね(笑)。こういうときにミスを少なくしてポイントを少しでも稼ぐというのがチャンプ獲得への重要なポイントかと思うのですけどね・・。シーズン終盤でこのレースで取れなかったポイントが重みを増すことも十分可能性がありますから。

  5. 悶☆ より:

    SYORI さん、リンク掲載ありがとうございます!
    先日は、イギリスGPにウィンブルドンに一喜一憂しておりました。
    英国の文化に触れ、少しはジェントルメンに近づけた気がする、悶☆です。
    さてさて、イギリスGPですが。デジャヴュ?かと思うようなスピン祭りでしたね(汗
    私が一番興奮したのは、スタート直後の1コーナーでのルイスとヘイキのガチンコ!最悪「ガッチンコ!」してもおかしくなかったですよ、アレは。
    ちなみに、ルノーサードドライバ時代のサイン持ってます^^;
    チャンピヨン取ってくれ~!(付加価値.....不純.....
    ルーベンスの久しぶりの表彰台、嬉しかったです^^
    スーパーアグリですが、レース後の通算ポイントボードに
    「 Super Aguri 0 」「T.SATOU 0」と現在も(当然ですが)表示されているのがなんとも切ないです。富士で「Thank you ! SUPER AGRI !」という横断幕を見たらきっと泣きます。(映画の予告編でウルウルしちゃうくらい涙腺弱す)
    P.S.ルーベンスが俳優だったらロビン・ウィリアムズになって、ロビンがF1ドライバーだったらルーベンスになるんだろうなぁ。

  6. SYORI より:

    >悶☆さん
    どうもです。こちらこそありがとうございます。
    TCSが無くなった影響はホント大きいですねー。90年代中盤からも禁止とはなりましたが、恐らくECUでの擬似TCSみたいなものが殆どのマシンに装備されていたのかもしれませんね。過去を見てもこれ程スピン多発なレースもあまり記憶がありませんので。
    1コーナーは燃えましたね(笑)。私もコバライネンの初優勝を期待してみていたので、ハミルトンを抑えたのは「おお」と思いましたが、抜かれた後はぱっとしませんでした・・。
    SAF1、日本GPでは間違いなくThank you ! SUPER AGURIの横断幕が上がるでしょう。SAF1デモランとかのイベントがあれば感動モノでしょうが、富士だけに流石にそれは無いですかね・・。もしそんな事があれば多分私もウルウルくると思いますよ(笑)。1991年シーズン終了後の鈴鹿ファン感謝デーで中嶋悟のラストランイベント(BRAUN Tyrrell HONDA)があったときも半泣きでスタンドから見てましたから(笑)。

  7. りょ より:

    前にも話題になったと思いますが、今季のフェラーリの取る作戦が非常に保守的というかビビリーで見ているこっちが「何でだ?」と思うことが多いです。あとやはり、成功/失敗にかかわらず、こういうレースでは「動いたチーム」の方を応援したくなるのは僕だけではないですよね。
    > SAF1
    僕はこういうところに全然注目していなくて、終わってから各方面のニュースやこちらで知ったことがほとんどなのですけど… 結局もうこれは、フライは(日本のF1ファンにとっては)究極の極悪人と思っていいのですよね? 僕にはそうとしか受け取れません。
    亜久里さんがHRF1のチーム監督というハナシは面白いですね。考えたこともなかったですけど、そうなったら確実に今よりは面白くなりそうです( ´∀`)

  8. SYORI より:

    >りょさん
    どうもです。フェラーリの作戦に関してですが、明らかに変わってきてますよね。ミハエル+ロスの時代って周りが2ストップ作戦する中、ただ一人3ストップで予選並みに走りきって優勝するとか、間違いなく攻めの戦略で勝ちを「手繰り寄せて」ましたからねー。そういう意味では今はかなり保守的になってますよね。この辺りはドライバーの問題も含まれるのかもしれませんが・・。
    SAF1ですが、撤退前からの噂や例の今宮ブログの記事など見ても、究極の極悪人(笑)といってもいいのかもしれません。でも仰るように日本人の感覚と欧州人の感覚はかけ離れてるのかもしれませんね。特にUK圏な方は日本人なんて屁みたいにしか思ってないでしょうし(笑)、HRF1に関しても自分たちがここまでやってきたんだ、だからお前らは俺のいう事を聞け、みたいな感覚をかなり持ってるんじゃないかと。だから彼らにしたら日本でこれだけ非難を浴びる理由すらわからないのかもしれません。
    そもそもイギリスに本拠を置くというのは、チーム運営としての観点からしても間違ってはいないと思いますけど、何故日本人主導で運営しなかったのか。今の状況ではホンダはただカネを出しているスポンサーにしか思えませんし・・・。
    亜久里氏がHRF1の監督というのはかなり妄想と希望が入ってると思いますけど(笑)、もしそうなってSAF1スタッフ共々、昔のホンダスピリットを取り戻してくれれば、ドライバーが誰であろうと全力で応援したいんですけどね・・。

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