2006年 F1 第18戦 ブラジルGP

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ついに今シーズンが終わりました。最終戦はアロンソVSミハエルの最終決戦となりましたが、鈴鹿で痛いノーポイントだったミハエルは圧倒的不利な状況でしたので、コメントでも今年のチャンピオンシップは終わった等の発言をしていました。しかしブラジルでは祝勝会用に高級ホテルのフロアを借り切っていたなど、コメントとは裏腹にきっと諦めていないんだなって思えました。ブラジルは日本の真裏となりますので時差の関係上大変遅い時間の放送となりますが、仮眠を取って決勝視聴に備えました(笑)。しかしすばらしいレースを見れました。起きて見ていて本当に良かったです。


予選はQ3開始直後のミハエルのスローダウンに驚かされました。どうも燃料供給を行う機器の問題だったようですが、ラスト2戦でこうもフェラーリにトラブルが続くとは信じられない思いでした。これにより予選10番手は確定してしまい、更に逆転チャンピオンの可能性は薄くなってしまったと言わざるを得ないです。エンジン系の問題だとエンジン交換ペナルティで更に10グリッド降格の危険もありましたので、その意味では良かったのかもしれませんが。ミハエルの奥さんが「怪我せずマシンから降りてきたらそれでいい」というコメントから分かるように後は無事に終えてくれたらそれでいいという感じでした。私も結果はともかくチェッカーを受けて最後の表彰台を思い切り味わってくれたら、という思いでした。

決勝では更なるアクシデントが待ち受けていました。フィジケラをオーバーテイクする際にフロントウィングがタイヤを傷付けたのだと思いますが、左リアがバーストしてしまい万事休す・・。トップから70秒遅れの最下位から猛追を開始する事に。しかしそれからがミハエルの凄さでした。凄いタイムでどんどん追いつき最終4位(トップから25秒遅れ)まで追い上げたその走りは、このレースで引退を決めている走りには到底思えませんでした。ホントすばらしい走りだったと言わざるを得ないです。
ブラジルGPではファステストラップ、全セクターファステスト、全セクター最高速を記録した事実は、間違いなくミハエルは最後のレースで自身の「最速の地位」を自ら証明したと思えるようでした。極めつけはライコネンとの1コーナーの勝負だったでしょう。触れんばかりのサイドバイサイドからの本当に凄いオーバーテイクでした。

レースはマッサがポールトゥウィンで通算2勝目、母国ブラジルでは1993年アイルトンセナ以来の地元ドライバー優勝という事で、地元観衆は勿論の事、本人の喜び方は凄いものがありましたし本当に良かったと思います。2位には19000回転セーブされたルノーエンジンでコンサバティブに走ったアロンソが2位に入り、2年連続のワールドチャンピオン確定。ルノーのコンストラクタータイトルも決定し、最高の結果を残しました。3位はバトンが入り最終戦を表彰台で飾り来年に向けて良い感じで終われました。ミハエルは4位でしたので、最後の表彰台を見る事は出来ませんでしたが、パルクフェルメで優勝したマッサと抱き合っているときの表情は、なんともいえない表情でしたね。レーサー人生の終わりを迎えたミハエルが燃え尽きた後の表情とでもいいましょうか・・。タイトル7度、優勝回数91回の記録は永遠に抜かれる事はないでしょう。最後まで最速のまま引退するミハエルに本当にお疲れ様といいたいです。

アロンソが2年連続でルノーでチャンピオンを取り、移籍するというシチュエーションは1994/1995年とベネトン(現ルノー)で2年連続タイトルを取って移籍したミハエルと妙に共通するところがあります。またミハエルの時代が来る前に一時代を築いていたセナの母国であり生まれ育ちのサンパウロでミハエルが引退するという事も不思議な縁を感じずにはいられません。天からセナはどのような気持ちでこの2人のレースを見守っていたのでしょうか・・・。

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ここからはSAF1の事を書きますが、今回はっきり言ってタイトル争いの2人よりもSAF1勢の方にばかり意識が集中していました(笑)。それくらい今回のレース展開は最高だったと思いますし、間違いなく今シーズンのベストレースでした。ついにトップ10圏内でフィニッシュですからね・・。

レーススタート時のアクシデントで順位を上げていた琢磨でしたが、異変(?)に気が付いたのは2スティント直後でした。CS放送では全然琢磨の走りを言わなかったのですが、ベストタイムをどんどん更新し、13秒台で前車との差を縮めていく走りに興奮して1人で「え???凄い、凄いやん!どうなってるんや?」と独り言をつぶやきまくってました(笑)。明らかに中段グループとは次元の違うタイムを出していて特にセクター2区間ではトップグループと同じくらいのペースで走っていました。リウッツィの後ろで抜きあぐねていたのですが(この頃国際映像の琢磨車載映像が何度か映る)リウッツィがピットに入って前が開けたとたんに、SAF1のいままでのポテンシャルを考えると驚異的なタイムでタイムを刻んでいってました。この辺りから実況も琢磨の異変に気づいたようです(笑)。私はずっとライブタイミングモニターを見ていましたが、2スティント中はラップによっては2~3番手くらいのタイムを常時出しており(最速だった時もあったんみたいです、興奮しすぎて見落としてました;;)、上位陣が殆ど14秒台のときに琢磨は13秒台でしたからね・・。10番手まで上がり、前は1ストップのマクラーレンのデラロサでしたが、それを1秒以上も上回るタイム(今から思えば1ストップ作戦のデラロサが遅いのは分かるのですが)で10秒以上あった差を5秒くらいにまで縮めていった時は、申し訳なく思いながらも、前で2台ほど潰れてくれ!、と思ったくらいです(笑)。

3スティント目でもその力強い走りは衰えることなく、60周付近でマッサにラップダウンされてしまいましたが、1周が短いこのサーキットでその周回までラップされずに同一周回で走っていた事に驚きを隠せませんでした。しかもマッサが周回遅れにした後も、勿論マッサはペースを落としていたのだと思いますが、離されることなくずっと付いていって走ってましたからね。誰がこんな走りを予想したでしょうか。フリー2でモンタニーが8番手になったのも布石だったのかもしれませんが、それにしてもホント予想外のすばらしい走りを見せつけてくれました。トロロッソのSスピードも今回のSAF1の速さに驚いていましたし、忘れてはいけないのはラスト10周での左近の走りも特筆すべき内容でした。ほぼ予選並みのタイムで走ってましたからね。二人のドライバーからのコメントでもその気持ちが現れていると思います。


佐藤琢磨
本当に素晴らしい結果だ。鈴鹿の僕たちのパフォーマンスに引き続き、これ以上のものは望めない。今回も素晴らしいチームの努力の成果だったと思う。メカニックもピットストップでよく頑張ってくれた。マシンの仕上がりも最高だったし、本当に楽しむことができた。レースのスタートでは他のマシンとサイド・バイ・サイドでコーナーに入り、レッドブルとスパイカーMF1チームを抜けたし、セーフティカーが入った後は本当にプッシュすることができて、トーロ・ロッソの2台をオーバーテイクできた。最初から最後までレースを戦うことができて、本当に楽しかった。チームに心から感謝したい。長く厳しいシーズンだったが、最後のレースを10位で完走できてとてもハッピーだ

山本左近
最初に、僕を常にサポートしてくれた皆に感謝したい。レースのスタートからフィニッシュまでプッシュして走ることができた。最後の方は予選と同じぐらいのスピードでプッシュして走っていたし、スパイカーMF1チームとはレースの最後まで戦うことができた。頑張ってくれたSAF1チームのメンバー全員に感謝したい。本当に素晴らしいマシンだった。シーズン最後にレースを最初から最後まで楽しむことができて、最高の気分だ


なお、セクタータイムも驚くべき結果となっています。

琢磨 FASTEST LAP:1'13.401(9位)
    T1:18.721(9位)  T2:36.888(8位) T3:17.757(11位)
左近 FASTEST LAP:1'13.379(7位)
    T1:18.822(14位) T2:36.629(2位) T3:17.797(13位)
参考 FASTEST LAP 1位:ミハエル 1'12.162 2位:マッサ1'12.877


琢磨のペースが全区間で中盤前後のタイムをマークしているのに対して、左近はT1/T3では遅れながらもT2で2位(!)という信じられないタイムを出しています。ミハエルの次にT2が速かったのですから、これは本当に凄いというしかありません。今回のマシンはインフィールドセクションに若干重点を置いたセッティングだったと予想されますが、1年前は姿すらなかったチームがここまで成長するとは・・。1位のミハエルのタイムが別格とはいえ1.2秒差、マッサとは0.5秒しか変わらないこの事実が、今回のSAF1の琢磨・左近の速さを物語っているでしょう。Q2進出は今年果たす事は出来ませんでしたが、この最終戦は本当に素晴らしい内容でした。

来年SA07がどのような形で登場するのか、RA106シャシーを使うアイデアはスパイカーの反対によって認められませんでしたが、何か他のアイデアがあるのかもしれません。2007年1月には新車テストが出来るとの事ですし、琢磨の来期去就もSAF1でほぼ確定でしょうから、チームメートが誰になるにしろ(今回のレースを見る限り、左近の速さは疑いの余地は無くなりました)今年以上の躍進を期待せずにはいられません。2007年はドライバーもマシンもレギュレーションも大きく変わりますが、今から待ち遠しい気分で一杯です。