セロー250 キャブレター 仕様変更・調整・オーバーホール

セロー購入から1年。多分唯一手を入れてない最後の聖域(笑)となるキャブレター。FZR250R所有時も散々泣かされたキャブですが、単気筒のセローで何故放置していたかというと、とにかく「外すまでの面倒くささ」です。FZRの時のような4連キャブですら簡単に外せていたのですが、ことセロー250になると、キャブを取り出すまでの下準備があまりにも面倒くさそうだったんでずっと見て見ぬフリをしていました(笑)。

今回どうしても弄る必要があった訳ではないのですが、マフラー交換に伴い以前からやってみたかったキャブの仕様変更+ついでにオーバーホールでもやってみようか、という趣旨です。
まずは事前準備です。消耗品や変えておきたい部品などを揃えておきました。実際は分解時に「これはまずい」と慌てて追加購入したものもあります(笑)

■部品内訳
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1.YAMAHA純正 5LB-14384-00 ... 480円
フロート蓋の外周用ゴム製ガスケット
※ある程度年月の経ったキャブの初回分解時には交換必須と思われます。

2.YAMAHA純正 5LB-14105-00 ... 877円
パイロットスクリュー・バネ・ワッシャー・Oリングのセット
※Oリングだけ交換したかったのですがアッシーでしか販売されていませんでした。

3.キタコ ニードルシムセット ... 209円
ニードルジェットの段差微調整に使うシム(0.3mm/0.5mm厚が各1枚)
※キャブセッティング用として。

4.ポッシュ パイロットジェットセット ... 1,254円
#32.5/35/37.5の3個入りで使うのは37.5のみ
※キャブセッティング用として。

5.YAMAH純正 3C5-26302-00 ... 3,432円
スロットルケーブル
※特に不具合は無いのですがゴム部分劣化と予防的交換です。

6.YAMAH純正 1JK-14363-00 ... 1,089円
チョークワイヤーからキャブ本体に接続する部分に使われているゴムカバー
※完全に朽ち果てボロボロでした。高い・・

7.YAMAH純正 90445-10752 ... 220円
キャブ本体~燃料コックへ通じるゴムホース
※見た目の問題は無いですが燃料ラインなので念のため。

8.YAMAH純正 5XT-13586-00 ... 3,619円
いわゆるインシュレーター。キャブ本体とシリンダー間のジョイント
※キャブ取り外し時に崩壊(笑)。詳細は後述。

9.YAMAH純正 93210-35537 ... 440円
上記インシュレーターに必要なOリング
※ゴム製Oリングは基本交換するので。

10.YAMAH純正 5LB-14592-00 ... 121円×4
フロート蓋を固定しているネジ4個
※ネジ取り外し時にあまりの固さに数本ナメたため・・

11.YAMAH純正 5XT-1434A-00 ... 1,903円
サクションピストンアセンブリ。いわゆるダイヤフラムとピストンバルブのセット
※分解しないと分からないゴム製品ですが、万一を考え事前購入。

12.YAMAH純正 5LB-14368-00 ... 2,673円
こちらもダイヤフラムですがキャブ横側に付いている小さいダイヤフラム
※分解しないと分からないゴム製品ですが、万一を考え事前購入。小さい部品ですが11よりも高い・・

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FZR250Rの時は30年前の旧車だけに、キャブの消耗品だけで恐ろしい金額が掛かっていたので、これくらいの費用で済むのは現行車(ではありませんけど)の強みですね。
とはいえ、何故この部品がこんな値段に・・と思うものも多々あったりしますが(苦笑)
部品も揃ったので早速分解です。
キャブ分解時に最も苦労するであろう、取り外しまでの労力ですが(笑)、まず手順的には

1.シートを外す
2.シート下のサイドカバーを外す
3.シュラウドを外す
4.タンクを外す
5.エアクリーナーボックスを緩めて後方へずらす
6.キャブを抜き取る(強引に)
7.キャブに繋がっているホースやワイヤー類、キャブヒーター?のコネクターを外す

という感じでかなり面倒臭いです。特にこの手順でも、キャブを取り外す為にはすんなりとは取り出せないため、インシュレーターなどに負担のかかる相当強引な抜き取り方をしないといけないため、今回はまずこの形で強引に抜き取りましたが、エアクリーナーボックスなどは事前に取り外した方がよっぽどラクで良いかと思います。
そんな感じで車体側からキャブを取り外した図。
よく見ると写真右上の丸いジョイント上部に付いているエアチャンバー?の差込口がひび割れてるのが分かりますでしょうか。これも強引にグニグニとやった影響かと思います・・
ここは部品の納期的に追加注文を諦め補修で済ませました(後述)。

上部から見た図。
この狭さから抜き出すのは容易ではありません。キャブセッティングだとかなり面倒ですが、OHで次回分解予定が無ければ後方部品もすべて取り外す事をオススメします。

シリンダー側インシュレーター。
ゴムと金属で作られているようですが、それが分離しかかっていた(恐らく外す際の圧力かと)ので、どうせ交換するものなので引っ張って取ってみました(笑)。こんな風になっているんですね。勿論再利用は不可です。

チョークケーブル部のゴムカバーも朽ちています。こちらも新品交換しました。
先端の銀色部分にワイヤーが引っかかっているので、バネを圧縮したら簡単に分離できます。その後部品を全て抜き取りゴムカバーを入れ替えるだけです。

ようやくキャブ単体の状態に。
吸入側はかなり汚れています。恐らくブローバイガスの色かと思います。早速分解・洗浄を行っていきます。

基本的にはネジで外せる所は全て分解、穴と言う穴を露出させていく感じです。私の場合はWAKO'Sのエンジンコンディショナーでキャブ内部を洗浄しますが、見た目の部分だけでなく、穴という穴をこれで吹いてやります。アホみたいに噴射しなくても大丈夫です。ちょっとずつ穴内部に噴射してやれば、違う穴・空間から汚れた泡が出てきますのでそれを全ての穴に対して繰り返します。ジェット類はフロート蓋の中にまとめて入れて、少し漬け置きしておけば良いかと思います。
WAKO'Sにはキャブレタークリーナーもありますがこちらの製品の方が洗浄力は高い気がします。ゴムやプラは劣化させますのでその点だけ気を付けて(取り外してから)洗浄します。
最後にパーツクリーナーで成分を落として仕上げます。

取り外した部品一式。
ニードルバルブが収まっている部分を抜き取ると網目のフィルターが出てきますが、見た感じゴミも無く綺麗な状態でした。樹脂・ゴム以外の部品もエンジンコンディショナーで清掃後、パーツクリーナーで仕上げます。

さて、キャブの洗浄が終わったら組み込みですが、それに合わせてキャブの仕様変更も行います。
まずパイロットジェットから。純正では34番が付いていますが、まずこれが始動性の悪さの元凶というもっぱらの噂です。というのもパイロットジェットはアイドリング~アクセル開度15%くらいを受け持つジェットなのですが、ここが薄すぎる為に始動性が悪いのでは?と言う事で、大きな番手に変更する方が多いようです。
私もそれに倣って、純正34番からポッシュのパイロットジェットセットに入っている37.5番へ変更します。
次にニードルジェットの仕様変更です。こちら、色んなネット情報を探っていると、ニードルに2つの仕様が存在しているようでした。ニードルのテーパー角違いがあるみたいなのですが、5A11という仕様と5A20という仕様です。5A20は更に燃調が薄くなるニードルらしいのですが、あまりにも走らないため途中で仕様変更がされたのか5A11に変わっているという事のようです。
私のキャブのニードルがどの仕様なのか不明だったので購入はしていませんでしたが、分解してみると5A11でした。結果オーライ。
セッテイングとしては、純正が3段目(上から1~5段とあり、その真ん中)となっていますが、3~4の中間か4あたりが良いとの情報を得ていました。純正の排気系だと弄らない方が良いという部分でもあるみたいですが、最近マフラー交換を行ったので、ここに購入したキタコ ニードルシムセットの0.5mm厚を追加し、3.5段という仕様に変更しました。
最後にパイロットスクリューの調整です。
純正は一番締めこんだ所から2回転戻しが設定なのですが、2.5回転戻しにします。パイロットジェットで濃くした燃料濃度をここで少し調整する形です。2.5回転が良いというネット情報の鵜呑みですが(笑)、ここは後からでも調整可能なので2.5回転戻しで設定しておきます。
以上で、キャブのリセッティングは終了です。
メインジェットは135番そのままで触っていません。138番だと吸排気を弄ってれば悪くないという話も聞きましたが、濃くされた方は概ね季節によっては濃すぎて元の純正番手に戻されるケースが多いようでしたので、あえてここは触りませんでした。

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キャブ本体が完了しましたので残るは組み込みですが、先にアクセルワイヤーの交換を済ませておきます。

キャブ側のワイヤーは外れた状態なので、アクセルグリップ側のワイヤーを外すだけです。このねじ2箇所を外してケースを分割してワイヤーを外します。

バイクは全ての外装が取れている為、アクセルワイヤーの交換も簡単です。通っている位置を把握しながら抜き取り、同じように這わしてやるだけです。一応新品ワイヤーですがワイヤールブでワイヤー内を浸透させておきました。

取り付け完成の図。上部ゴム部分がかなり劣化していたので新品はやっぱり気持ちがいいですね。

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さていよいよキャブの再取り付けですが、前述通り取り外し時にあれだけ苦労したので、再度取り付ける際も苦労必至です。なので、エアクリーナーボックスを外す事にします。
ボックスを外してしまえば、後ろ側からの邪魔ものは居なくなりますのでキャブ本来をシリンダー側に固定するのもかなり楽になると思いますし、折角インシュレーターを新品にしたのにまた圧力かけまくってグニグニさせるのも嫌でしたので。
とまあエアクリボックスなぞ簡単に取れそうなものですが、セロー250の整備性の悪さはここでも如何なく発揮(笑)。
エアクリーナーボックスは反対側のバッテリーボックス(ケース?)の密接な関係で(笑)、まずバッテリー側のケース本体を外さないとエアクリーナーボックスを外す事は不可能のようです・・。なので、まずはバッテリーを外し、その周りに付いている電装パーツ類を全てケースから外した状態にします。
バッテリーケースは側面と後方に1個ずつボルトで止まっており、それを外せば後方にずらして本体が取れるのですが、これまたマフラーが邪魔になるのでサイレンサー固定部のボルトを外してある程度動く状態にしてから何とか引っ張り抜きました。どこで何が引っかかっているのかよく分からず、かなり面倒くさかったです。

ここまでくればエアクリーナーボックスは簡単です。こちらも横側に車体フレームと固定しているボルト1か所があるので、そこを外せば後方にずらして取る事が出来るのですが、今度はリアタイヤが邪魔でなかなか外せません。私のセローはオーリンズで車高をアップしているので何とかそのまま抜けましたが、ノーマル車高だと恐らくリアタイヤを外さないとボックスを抜くことが出来ないかもです。本当にイライラしました(笑)

ここまで分解すればキャブの再取り付けもかなり余裕かと思います。

バッテリー側。電装ハーネスやECUなどもそうですが、あのケースがちゃんと元に戻せるのか一抹の不安がよぎります(笑)

折角なのでエアクリーナーボックスもメンテします。
予想していましたがブローバイガスの溜まったヘドロみたいな液体のようなものが底面に溜まっています。

エアクリーナー部のメッシュ?みたいなところまで広範囲に汚れていたので、パーツクリーナーで綺麗にしておきました。

そして最後にこちら。
丸いジョイント上部に付いているエアチャンバーの差込口がひび割れてるので、弄ってたら千切れてしまったため、ゴム用接着剤とコーキングで応急処置をしておきました。2次エアを吸う事はなさそうですが、この部分はいずれ交換してしまいたいですね。ホントはこの時に同時にやってしまいたかったのですが、部品供給時期でどうしても補修しか出来ませんでした。

ちなみにエアクリーナーエレメントですが、昨年交換後まだ1000kmくらいしか走っていないからか、新品のように綺麗でした(笑)。勿論そのまま再利用します。

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ここからは写真がありません(夢中で撮ってませんでした)が、キャブを再組付けするための下準備は揃ったのでテキパキと組付けていくだけです。
予想通り、キャブの再固定は超ラクでした。各部に負担をかける事も無くスムーズに取り付け出来たので、今後バラす事があれば100%エアクリーナーボックスも取り外して作業を行おうと思います。かなり面倒くさいですが・・
組付け時に難儀したのはエアクリーナーボックスを所定の位置に戻す事でした。
タイヤが付いた状態で無理やり外しましたが、再度固定する際どうしてもタイヤがあると邪魔だったのと、エアチャンバーを応急処置してたのでそこに圧力をあまりかけたくなかったので、ケースを半分分解した状態で所定位置に持っていき、側面カバーは後から固定する形にしました。
いずれにしても後方パーツをばらす際、ジャッキアップしてリアタイヤも外しておいた方がスムーズに作業が出来そうです。
苦難の連続でしたが、ようやくキャブを組付け最低限走れる状態に持っていく事が出来ました。
キャブを外す際、インシュレーター開口部付近から砂がパラパラとエンジン内に入っていったような気がしてて、エンジン始動の際はかなり気にしていました。
まず燃料コックをONにします。
チョークを引っ張ってセルON。数秒後にエンジン始動。アイドリング調整が出来ていなかったので何度もエンジンが止まるものの調整後はアイドリングも安定。
エンジン始動性の良さがどうなるかは現状まだ分かりませんが(ここ最近は燃料コックOFFにしてからキャブ内の燃料が無くなるまでエンジンONにしていたので)、余計な小細工(笑)無しで、始動性が良くなれば大万歳ですね。
タンクとシートのみ、怪しい状態で試走しに行きます。
分解前からバイクの調子は悪くなかったのですが、キャブ仕様変更の効果がてきめんに現れていたように感じました。中低速は明らかに以前よりトルクフルになってめちゃくちゃ走りやすくなっています。アクセルのツキも良く上までストレス無く回ってくれてましたので、キャブに関しては文句無しの状態になりました。勿論これから暑くなりますので、四季通してどうなのかはこれからですが(これがキャブ仕様の良いところであり悪いところでもありますが)、年に10回も乗らないバイクですので(笑)、これからはボチボチ様子見と言う事にしようかなと思っています。
いよいよバイクを弄る部分が無くなってきたのですが(笑)、先日友人と日帰りツーリングに行った際、夜遅くなって真っ暗な峠道を走った際に、ヘッドライトの暗さと自分の目の悪さ(歳で夜の視認性がかなり落ちてるw)にかなり怖い思いをしたので、補助灯(いわゆるフォグライト)を検討中です。次はこれかなー。

セロー250 キャブレター 仕様変更・調整・オーバーホール” に対して4件のコメントがあります。

  1. ゴーイチ より:

    キャブ車のセロー250(DG11J)で色々と検索して、こちらのブログに辿り着きました。
    私もDG11Jに乗っていて、パイロットジェットを37.5に交換し、AIキャンセル、CDIカットの定番改造をしているのですが、普段乗らない事もあってか(月に100km未満)燃費がリッター辺り20km程度なのですが、SYORI(Gucchi1918)さんのセローは燃費はどれくらいか参考までに教えていただけますでしょうか?
    他のバイクや車ではカタログ燃費に近い値で走れているので、バイクの調子かセッティングが悪いのかなと考えています。

    1. ゴーイチさん初めまして。
      燃費ですが、ご存じの通り走る状況によって全然変わると思いますので何とも言えませんが、林道オンリーの場合だと転倒したりスタックしたりで距離の割にガソリン食いまくりますので、燃費は確かに20km/Lくらいになるかもしれませんが、ツーリングの時などは200kmほど走って満タンして7Lくらいの給油量だったかと思います(まあ、ツーリングでも走り方によって変わりますけど)。それで計算すれば27~8km/Lくらいは走ってたかな?という印象です。
      燃費が悪いのはほぼほぼ燃調が濃い状態かと思いますので、パイロットジェット以外のジェット類がノーマルなのかどうか、詰まりなどはないか、エアクリーナーの状態など見るべき部分は多々あるかと思います。FZR250Rのキャブトラブルの時もそうでしたが、問題解消すると確実に燃費向上しますので、キャブ周り・吸排気・あとはチェーンや前後ホイール軸が抵抗なく回っているか、ブレーキが抵抗になってないかなど色々と点検をされてみては。

  2. ゴーイチ より:

    ご回答ありがとうございます。
    タイヤの空気圧やブレーキの引摺り、エアフィルター、チェーンの張り等の機械的な箇所は思い付く限りチェックしたのですが、キャブレターは純正という先入観がありましたので未確認でした。
    SYORI(Gucchi1918)さんのブログにもありますように、キャブレターへのアクセスが大変ですので、他のメンテナンスの折にキャブレターのジェット類を確認してみたいと思います。

    せめて25~30㎞くらい走ってくれると林道にも安心して走りに行けるのですが…

    この度はご親切にありがとうございました。

    1. パイロットジェットを37.5に変更された際にメンテナンスはされてなかったのでしょうか?
      フロート蓋を外して付け替えただけでしたら、その時に全バラしてOHされても良かったかもですね。ご存じの通りアクセスが大変ですので、ジェット類のクリーニングは勿論、パイロットスクリューが規定値通りになっているかどうか(ここは燃費に大きくか関わってくると思います)、ゴム関係の消耗品など色々な部品を交換されるのも良いかと思います。
      あとキャブレターとシリンダーの間にあるインシュレーターも要チェックです。劣化していると取り外しの際に亀裂が入って二次エアなど吸いますと調子も悪くなりますんで(燃費は関係ないと思いますが)。
      いずれにしても季節性もあり、年中通して好調にはならないのがキャブ車の宿命ではありますが記事参考に頑張ってみてください。

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