アコードツアラー インナードアグリップ 塗装
ここ最近殆ど乗らなくなってカバーをかけたままのツアラー。先月くらいに立山旅行で久々に運転したのですがその時にめちゃくちゃ気になったのがドア内側のドアグリップ。ここがかなりベトついているというかネチャっとした嫌な感触になっていました。単なる樹脂でも高温化に晒されるとこんな感じになるらしいですが、ここは調べてみたところ推測ですが「プロテイン塗装」という欧州車に多い塗装が施されているようで、新車時にはマット感もあり手触りも良く上質な質感を出しているのですが、経年劣化によって表面の塗装が劣化してきてベトつくようになるらしいです。そのベトベトした感じもそうですがその塗装面が傷が付きやすいのか大分傷が目立つようになってきていかにもボロそうな質感を醸し出しています(笑)
どうしたものかと色々調べてみたら、グリップ片側で税込9,295円で買えるそう(2025年5月にディーラーで確認。運転席側:83516-TL0-E03ZA、助手席側:83566-TL0-E03ZA)。左右で約2万円。ネット通販等で調べると7千円台で売ってる所もあったのですが、普段乗らないだけにいずれまたベトベトしてきたら勿体ないしなあと悩みます(笑)。アルコールでキレイにしてベトベト感を除去する人もいればカッティングシートを貼って対処する人も。または塗装してしまう人なども。勿論交換するに越したことはないんですが、何となくここに1.5~2万円を出すのを躊躇する感じでしたので悩んだ挙句塗装補修する事に決めました。
ということでまずはドアから内張りを取り外します。詳細はこちらの記事を参照ください。私も外し方を忘れていたので自分の記事を見ながら外しました(笑)。取りはずしの段階は写真を撮っていませんが、現状のドアグリップ(助手席側)はこんな感じ。見た目も傷だらけですがとにかくベトベトするのが不快すぎます・・


この写真はグリップを取り外した際に見えた元々の状態と劣化した状態の境目。ここはツィータースピーカーが固定されているカバーの中に隠れていた部分です。直射日光が当たらないからか劣化前の状態になっていて見た目が全然違いますね。
この塗装が欧州車で多いという事で元々北米や欧州で売ろうとしていたアコードツアラーなのでそのようなトレンド?に従ったのでしょうけど、ここは欧州車乗られてる方も皆さん困っている部分っぽいですね。

ということでもう分解された状態になってますが(笑)、ドアグリップを外す際は内張り裏側からグリップを固定しているプラスネジを10個以上外す必要があります。これでもか!という位に固定されています(笑)。
全ての固定ネジが外せたら数か所プラのフックで固定されている箇所があるのでそこを外してやるとようやく外せますが、運転席側はドアミラー系スイッチが固定されているので、一旦内張り側のハーネスを外してやりドアグリップを外した後に改めてスイッチ周りを外す必要があります。

スイッチが外せたらこの部分の樹脂カバーを取る(写真はもう外れてます)のですが、ここがかなり大変でした。とにかく物凄く複雑な固定方法になっていてどのようにして取りはずしたら良いかがかなり悩みました。
ネジそのものは2か所止まっているだけですが、樹脂が複雑に入り組んだ状態でカッチリはまるようになっていて、無理やり取ろうとするとツメが折れそうになるので頭を悩ませました。最終的にどうにか外すことが出来ましたら未だにここの正しい外し方が分かりません(笑)。壊さなくて良かったです。

取りはずしたドアミラースイッチパネル。

やっとドアグリップだけの状態になりましたがこの裏側にもまだ樹脂パーツが固定されています(写真は助手席側))。ここもネジ1つだけなのですが全体的にツメで絶妙にキッチリかみ合っており、どうしたら分離できるか悩みました。最終的には引っ張ったら取れましたが。

やっとグリップ単体になりました。

外す際に出てくる部品ですが固定ネジは10個(左右で違うかもしれませんが)、固定ネジを外すと勝手に外れてしまうブラケット、ドアミラースイッチ、グリップ裏側の樹脂となります。

内張り裏側の成型部分。上方に黒いエプトシーラーのようなものが沢山貼られていますが、これは恐らくドア内側の鉄板に当たる部分を保護+異音発生を抑える為のひと手間なのかと。
ここまで分解して改めて思ったのですが、このクルマのお金の掛け方はハンパ無いですね。ドア内張りだけを見ても構成パーツはかなり多いですし、他車種汎用のパーツは殆ど無いように思えます(殆ど専用設計で金型を作ってる感じ)。細かい部分にコストダウンの形跡は全くないですしとにかく丁寧かつコストをかけた作り方になっています。流石アキュラを名乗って国内展開しようとした車だけあります。今の車じゃ考えられないほどにしっかり手間ヒマかけて作られた車だと改めて認識できました。

話が脱線してしまいましたが(笑)、グリップを外したので早速下地作りに入ります。
まずこの表面を覆っている「プロテイン塗装」をどうするか。ネットで調べてみるとやはり剥がされてる方が多いです。一旦この塗装を剥がしてしまい(その際に塗装面についた傷も全て無くなる)樹脂の素地になった時点で塗装するという感じでしょうか。流石にこの塗装のまま塗ってしまうと傷が残ったままになりますし、下地処理をするくらいなら剥がしてしまった方がキレイに仕上がりそうですしね。という事で剥がすにはどうすればよいかを調べていくと、このプロテイン塗装は「タンパク質を添加したウレタン塗料による塗装」とのこと。
タンパク質にはアルカリ性が良いということで皆さん色んな洗剤を使われているようですが、自宅にはちょうどアルカリ性の「水の激落ちくん」という洗剤?があったのでこれを使ってみることに。洗剤を吹きかけて歯ブラシで最初擦ってみましたが、黒くなるものの塗装が全部とれるまで数年かかりそうなくらいしか取れないので(笑)、BBQで網を洗う際に使っている使い捨てのスチールたわしを使ってみます。ひたすら擦り続けます・・

洗面台だったので30分くらいしかやりませんでしたが(黒い汚水が飛び散るので)、まあまあ必死で頑張ってみたものの洗って乾かして表面を見るとこれくらいしか塗装が取れていません。少し艶っぽくなっている部分が樹脂本体の表面でそれ以外がプロテイン塗装が残っている部分です。
この時点で「塗装なんかせずに新品買ったらよかった」と少し後悔(笑)。かなりの力を入れて擦り続けないと取れなさそうだったので洗面台ではこれ以上はせず翌日屋外で作業の続きをすることに。

上が30分研磨したもので下が未施工のもの。正直まだ1割も素地が見えてません。この時点で「面倒くさそうだなあ」と思われた方は新品購入をお勧めします(笑)

ということで翌日は屋外にて。
洗剤自体はよく効いてそうだったので激落ちくんを使いつつ塗装剥ぎを続けます。電動工具を使って600番くらいで洗剤を付けながら研磨してみたのですが、この塗装成分がすぐペーパーに目詰まりしてしまい全然ダメでした。
スチールたわしでひたすら人力でやるしかないと覚悟を決めてゴシゴシやります。電動工具でスチールたわしに近いような研磨パッドがあれば良いのかもしれませんが、そもそも曲面も多いですし逆反り箇所もあったりで電動工具だと研磨出来ない箇所も多く結局は手でやった方が速いかもしれません。
外で1時間半くらいひたすら削って何とか目に見える範囲のプロテイン塗装は除去できました。

スチールたわしで除去したので表面には良い感じの足付け傷が出来ています(笑)


上が除去済み、下が未施工。今の作業をもう一回しなければいけないのか・・と気持ちが滅入りますが(笑)、とにかくあと1個を再度頑張ります。
こちらはコツを掴んで何とか1時間くらいで終わらせましたが、ひたすら人力でやっていたので指の関節と上腕がパンパンで今も筋肉痛でしんどいです(笑)。何はともあれ研磨は終わって塗装を全部剥ぎ取る事が出来ました。疲れた・・

お次は素地状態の下地作り。
もう面倒なのであのまま塗ってやろかと一瞬思いましたが、塗装下準備で適当な事をすると必ず失敗するので(笑)しっかりやることに。表面に無数の傷が付いたのですがちょっとこの後のサンディングでも消えないような深い傷も入ってしまっていたので、久々にサーフェイサーを塗って下地を完璧に作ることにしました。そのため、一旦1000番の耐水ペーパーで水研ぎします。

表面をある程度慣らしたらサーフェイサーを吹いていきます。
余り物無かったっけ?と倉庫を探したら、恐らく10年以上前に使ったと思われるスプレー缶の余りを見つけます。グリップ2本なら何とか塗れるかなという残量。軽く吹いてみましたが古いからか粒子がデカくて凄い柚子肌になります。まあどうせ研磨するんだからまあいいかと使う事に。写真で分かりますかね。とにかく凄いデカい粒子で飛んでいくので一回吹いただけでも凄いダマダマな状態になってます(笑)

気にせずある程度の厚塗りをして後の研磨に耐えられるくらいにしておきました。
塗り終わった状態がこれ。このサーフェイサーって白なので最終的に黒塗装にするのでしたら本当は一般的なグレーとか黒っぽいサフの方が良かったかもしれませんが、まあ余りモノなので仕方がないです。笑えるくらい違和感バリバリな状態になってしまいましたが(笑)完成したらバッチリになると信じましょう。

強烈な柚子肌になったサフ面を研磨してツルツルにしていきます。
1500→2000番で2度表面を水研ぎしましたが、サーフェイサー表面がツルツルになっていくのは気持ちいいですね!久々にこのツルツルした手触りを感じた気がします。ぱっと見はもう完璧な下地となった感じです。手で触っても強烈にツルツルです(笑)。これで下地作業は完了。後は艶消しブラックで塗るだけです。ここまで下地に手間暇かけたので綺麗に仕上がるでしょう!

早速塗装していきます。使ったのはソフト99(SOFT99) 99工房 補修ペイント ボデーペン つや消し黒。黒を上から塗るのであれば本来プラサフは黒かグレーなどを使った方が良さげですが余りものを使ったのでしっかり塗る必要があります。まずは軽く捨て吹きから少しづつ塗り重ねていきます。

3~4回くらい塗り重ねました。まあ綺麗に塗れたんじゃないでしょうか。

2日程乾燥させてから全体を見てみます。まあ悪くない感じですが多少ホコリが引っ付いた状態でした。ただ艶消し塗装はここからリカバリーする事が出来ないのでこれが完成形となります。まあパッと見は分かりませんし手触りも全然悪くないのでこれで良しとします。

ドア内張りに組み込んでいきます。綺麗になりましたし何よりベトツキは一切ありません(当然ですが)。まあ実際塗ってみて組み込んでから思いましたが、本来の純正グリップはもう少し明るめの黒と言いましょうか、ダークグレーっぽい色だったと思うので、こうやってみると少し黒いかな?とは思いますが黒以外で艶消しスプレーはありません(と思う)し、近い色で塗るとすれば更に艶消しクリアを塗る必要があるのでその辺りは妥協かなと。
あとは艶消し塗装の場合は手で触り続けると艶消し部分が少しずつ擦れていき段々と光沢が出てくると思うので、その辺り使い続けるとどうなるかなと言う部分はありますが。まあ私の場合このドアグリップを使って開け閉めする事は殆どなく、肘置き部分の窪みを使って開け閉めする事が圧倒的に多いので(なのでその部分にしわが出来てしまうのですが)まあ大丈夫かなと。


内張りが組み終わりましたので再度ドアに固定していきます。
実際外で組み終わった後を見てみると艶消し黒でも案外良い感じに見えますね。塗装なので固いもので引っかいたり当たったりすると塗装が剥がれる可能性があるのでそこはウィークポイントですけど、もしそうなってしまったらまたその時に考えようかなと思います。いずれにせよベトツキは無くなりましたし傷も無く綺麗なマット感のグリップに戻ったのでひとまずは満足です。



