2006年 F1 第5戦 ヨーロッパGP

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レース結果よりも先に一言(長文ですが(笑))。このレースより井出有治がテストドライバー降格となってしまいました。前から噂になっていましたので、遂に・・という気持ちもありますが、ショックのほうが大きいですね。亜久里代表の意向を考えると佐藤・井出コンビで最後まで行くと思っていましたので・・。これは亜久里代表にも止められなかった大きな力が存在していたか、決められたシナリオ(亜久里代表の思惑ではない何か)通りに物事が進んでしまったのかどちらかでしょう。


実際井出の処遇については亜久里代表自ら「自分の意志だけでは決められない」と語っていましたから。フランス人ドライバー不在の現在、モンタニーを乗せることは興行上FIAにとっても良いことでしょう。FIAがサンマリノでのアクシデントからこういう事を指示(経験が足りない為、レース以外でマイレージを増やす為の走行を勧告)するなんて今までではありえない状況ですからね。過去にもミナルディやジョーダンなどでペイドライバーを雇って走らせていましたがいずれも経験があるとは言えないドライバーばかりでした。それらも皆、資金不足からテストも出来ず結局レースでしか経験を積んでいけなかったと思います。そんな時にこんなFIAからの勧告など聞いたこともありません。
勿論、チームとして考えるとタイムの拮抗しているドライバー二人で開発を行うのはプラスになると思いますし、ルノーチームを3年間テストドライバーとして開発した経験も役立つと思います。実際モンタニーのタイムは琢磨と比べてもフリー走行ではなかなかのものでした。でも、これで井出と比べてしまうのは「かなり」問題があると思います。


まず琢磨は今回のヨーロッパGPより新しいシャシーを与えられています。そしてモンタニーは今まで琢磨が乗っていたシャシーを与えられています。井出の乗っていたマシンはお蔵入りとなってしまったようです。サンマリノ前の合同テストの時に、琢磨の乗っていたシャシーを井出がテストで走らせる機会を与えられましたが結局トラブルのため3日間を通して井出が乗る機会は1度も与えられる事はありませんでした。そのテストは井出の走りを見極める為に琢磨車に乗せてみてポテンシャルを見るという目的があったにも関わらずです。実際その時に1日でも乗っていれば琢磨とほぼ同じ条件の中でのタイム差が見られたはずなのですが、それも結局分からずじまいでした。

今回モンタニーが乗るという事で琢磨との差がどれくらいなのか?井出と比べてどれくらい走るのか?とかなりクローズアップされたと思います。モンタニーはレース経験はゼロですが、ルノー時代は3年間もテストドライバーとして活躍していましたしF1マシンの経験は十分持っているでしょう。しかもチャンピオンチームなのですからものすごい距離を走っているはずです。なので同じレース経験ゼロのモンタニーと井出を比べられるはずがありません。そして今回のレースではモンタニーはサンマリノGPまでの琢磨車に乗っていましたし、琢磨は新型シャシーでした。結局誰も今まで井出が乗っていたマシンに乗っていない訳です。以前シートの話をしましたがモンタニーもルノー時代のシートを持参しているようですし井出はフェルスタッペンのシートから「何故か」モンタニーのシートにパットを装着して使っていたという話も聞いています。なので結局自分用のシートを使っていないのは井出だけという状況です。そして井出のマシンは金曜日に走る事もなく3rdカーとして使われる事もなくお蔵入りとなってしまったことを考えると、相当扱いにくい深刻なトラブルを抱えたシャシーであったと容易に想像できます。本当であれば今回よりサンマリノまでの琢磨車に井出が乗り、井出車をモンタニーが金曜3rdカーとして走らせるはずだったんですが、何故そうしなかったのか?というと物凄く「政治的」な匂いがしてくるのですが・・。

こんな状況の中、「モンタニーはやっぱり井出と違って速かった」とあちこちで拝見しますが、安易に決め付けてしまうのはあまりにも可哀想だと思いますし、それこそ「政治的」な思惑に踊らされていると思います。なんせ同じ土俵(物質的・経験的にも)で全く戦わせてもらってないのですから。井出もニッサンワークスドライバー、FNでのトップチームなどの地位を全て捨てて自らF1にやってきた訳です。この状況は井出のキャリアを丸潰れにしてしまっただけでなく、亜久里代表が当初話していた「日本のトップレベルのドライバーがどれだけF1で通用するか」を自ら完全に否定されてしまう状況に追いやってしまったこと、言い方を変えれば現在FN等日本で戦っているトップドライバー達を見る世界からの目が「国内トップレベルではやっぱり世界には通用しない」と思われてしまうという事も考えられます。これは本当に責任重大な状況だと思います。これは井出の責任では全くなく、チームの責任だと言わざるをえません。満足なテストも出来ない、シートすら用意できない、問題のありすぎる井出車、これら状況をどれだけ把握した上で井出はF1行きを決断したのか分かりませんが、やはり納得出来ない今回の交代劇です。勿論井出にもコミュニケーションの問題、タイヤの使い方など自身の問題があった部分もあります。それらを差し引いてもちょっと納得出来ませんね・・。

ちなみにFIAはレース以外での走行でマイレージ(走行距離)を増やして経験を積み再度レースドライバーとして戻るよう勧告したらしいですが、結局金曜日の3rdカー走行すら認められないようです。恐らく理由は「危険」だからという事なんでしょうが・・。となると残された走行距離を伸ばす機会はレースウィーク以外のテスト走行という事になるのでしょうが、SAF1にはテストを行う予定や余裕すら無い状況です。となるとどこで井出は経験を積めばよいのでしょうか・・・。まあ、いずれにしても今後の状況を静かに見守りたいと思います。

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話が思い切り脱線しましたが(笑)、レース展開はサンマリノと同じくアロンソとミハエルの一騎打ちとなりましたね。1回目のピット後もマッチレースが続きましたが、アロンソがピットに入る数周前から二人のタイム応酬はかなり見ごたえがありました。アロンソがタイムを出せばミハエルも出す、その後は殆ど同じタイムで走行、アロンソがピットに入るやいなや、ミハエルの凄まじいファステストラップ、まさに勝負有り!の瞬間でした。アロンソは2位でも2ptしか差が詰まりませんのでこれで良しとしたのかもしれませんが、2度目のピットインまでの攻防は見ごたえありましたね。マッサの初表彰台も良かったです。

ホンダ勢は相変わらずで、バトンはトラブルでリタイア。バリチェロは5位でしたがトップからは1分以上も離されていて優勝争いには程遠い走りでした。予選では速さがあるがレースでは後方に落ちていく毎度のパターンは今回も健在でした。今シーズンはずっと苦しい戦いが続くでしょう。
SAF1も2台ともハイドロ系のトラブルで完走出来ませんでした。予選での赤旗誤表示の問題で予選ラップもマトモに出来ませんでしたし、琢磨に関してはスタート直後の混乱で12位まで上がったのですがトラブルから数周でストレート速度が落ちていき、どんどん後方に下がっていく苦しい展開から最後はピットでレースを終えてしまいました。SA06が何時の段階で出来上がるのか全く見えませんが(フランスGPでの投入を目標にしているようですが・・)、それまではずっと苦しい戦いになるでしょう。